黄帝内経をご存じですか?

中国最古の医学書である黄帝内経は、東洋医学の基礎を築いた書物です 。紀元前200年頃から紀元後220年頃に編纂されたと考えられています 。陰陽五行説を基盤に、人体と自然との調和を重視した医学体系を特徴とし 、「素問」と「霊枢」の二つの部分から構成されています 。「素問」は医学理論を、「霊枢」は鍼灸治療を主に扱っています 。黄帝内経は後世の東洋医学に多大な影響を与え、現代においても重要な古典として、伝統医学を実践する人々の教科書に引用されています 。
黄帝内経は、2000年以上前に書かれた医学書ですが、現代においてもその価値は失われていません。陰陽五行説に基づいた自然観、そして人間と自然との調和を重視する思想は、現代社会における健康を考える上でも重要な示唆を与えてくれるものです。単なる医学書ではなく、古代中国の思想や文化を反映した、総合的な健康指南書で、現代の私たちの心身の健康を保ちより豊かに生きるためのヒントがあります。
西洋医学との違いを意識してみると、西洋医学は、病気の原因を特定し、その原因を取り除くことに重点を置いています。細菌やウイルス感染症に対する抗生物質や、がん細胞を攻撃する抗がん剤など、優れた治療法を開発してきています。しかし、西洋医学では、病気の症状を抑えることはできても、根本的な原因を解決できない場合があり、慢性疾患や難病への対応に限界があります 。 一方、黄帝内経では、人間を自然の一部と捉え、心身の調和を重視する全体論的な医学体系を確立しています 。陰陽五行説に基づき、身体の内外環境のバランスを整えることで、病気の発生を予防し、自然治癒力を高めることを目指しています。
黄帝内経は、現代医学では見落とされがちな以下の点を重視しています。
・心と体の繋がり 精神的なストレスが身体の不調に繋がると考え、心の安定を重視している 。現代社会において、ストレスは様々な疾患の原因となることが知られており、黄帝内経の考え方は、心身の健康を包括的に捉える上で重要です。
・体質の個人の違い 一人ひとりの体質や生活環境に合わせ、治療法や養生法を変えることを重要視している。西洋医学では、画一的な治療法が用いられることが多いが、黄帝内経は、個別の体質に合わせたオーダーメイド医療の考え方を示唆してる。
・予防医学 病気になる前に、生活習慣や食生活の改善を通して、病気になりにくい身体作りを重視している。これは、現代の予防医学に通じる考え方であり、健康寿命の延伸にも貢献すると考えられる。
・自然との調和 自然のリズムに合わせて生活し、自然の恵みを活かすことで、健康を維持できると考えている。現代社会では、自然との繋がりが希薄になりがちですが、黄帝内経は、自然との共存が健康に不可欠で あることを示唆している。
黄帝内経は、これらの点で西洋医学とは違って 全体的な視点を持つものなのです。西洋医学では対処できない慢性疾患や難病の治療、そして健康寿命の延伸、QOL(Quality of Life)の向上といった課題への対処方法へのヒントがそこに記載されているのです。